風適法について

やった!!

昨日から、風適法について色々調べてみた。だんだん分ってきた。ネット上の情報ばかりなのでどこまでホントで間違っていないか不安だけど、今の時点で分ったことをまとめてみた。
長いから要点だけ知りたい場合は最後のほうの「まとめ」を読むといいかも。

法律の名称

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

これが法律の正式名称。正式な略称は風適法。風営法は以前の「風俗営業取締法」の略称だけど、今でも風営法と呼ばれることが多い。
ここでは以下は「法」と略する。

法のどこに該当するのか?

法第2条第1項に「風俗営業」の定義が書かれている。これを読むと僕らが「クラブ」と呼んでいるものは第1号か第3号に該当しそうに読める。

(用語の意義)
第2条 この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
1.キャバレーその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客の接待をして客に飲食をさせる営業
〜略〜
3.ナイトクラブその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(第1号に該当する営業を除く。)

営業の一部としてダンスすることが許されるのはこのふたつ。しかし、「風俗営業」に該当すると第13条に該当し営業時間の制限を受けることになる。

(営業時間の制限)
第13条 風俗営業者は、午前零時(都道府県が習俗的行事その他の特別な事情のある日として条例で定める日にあつては当該事情のある地域として当該条例で定める地域内は午前零時以後において当該条例で定める時、当該条例で定める日以外の日にあつては午前1時まで風俗営業を営むことが許容される特別な事情のある地域として政令で定める基準従い都道府県の条例で定める地域内に限り午前1時)から日出時までの時間においては、その営業を営んではならない。

条文そのままだと分かりにくいけど、つまりは午前0時(一部認められた地域では午前1時)から日の出までは営業しちゃダメってこと。つまり「朝まで踊るゾ!!うぉ〜!!」ってことはやっちゃダメ。
大きいディスコ(ベルファーレなど)なんかは、この条文の営業許可をとっているため午前0時とか午前1時で終わるらしい。日が昇れば踊れるから「アフター」と称して朝はやっても大丈夫。

んじゃ、クラブはどういう手続きで営業しているのか。これは法第32条に書かれている。

(深夜における飲食店営業の規制等)
32条 深夜において飲食店営業を営む者は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
1.営業所の構造及び設備を、国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合するように維持すること。
2.深夜において客に遊興をさせないこと。
2 第14条及び第15条の規定は、深夜において飲食店営業を営む者について準用する。この場合において、これらの規定中「その営業」とあるのは、「その深夜における営業」と読み替えるものとする。
(3号略)

「深夜酒類提供飲食店営業」として営業している。これならば午前0時以降も営業出来る。
法第32条第1項第1号の「国家公安委員会規則で定める技術上の基準」とはどういうものか調べてみると。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則
(深夜における飲食店営業の営業所の技術上の基準)
第四十条
 法第三十二条第一項第一号の国家公安委員会規則で定める技術上の基準は、次のとおりとする。
一 客室の床面積は、一室の床面積を九・五平方メートル以上とすること。ただし、客室の数が一室のみである場合は、この限りでない。
二 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
三 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備(第四十三条に規定する営業に係る営業所にあつては、少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を含む。)を設けないこと。
四 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。
五 次条に定めるところにより計つた営業所内の照度が二十ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
六 第二十三条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第三十二条第二項において準用する法第十五条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
七 ダンスの用に供するための構造又は設備を有しないこと。

最後の第7号がキモになる。つまり午前0時以降に営業をするならダンスをするような構造・設備ではアウトということ。
大音量で音楽が流れて、広いフロアがあれば、そこにいるお客さんが「いや踊ってないっすよ、体操してるだけっす」と言ったところでこの規則に触れることになるだろう。一説では体がテーブルや壁に触れていれば大丈夫とのことだけど、その場合でも音が大音量で流れていてはダメっぽい。
そもそも「ダンスの用に供するための構造又は設備を有しないこと」とされているから、広いフロアがあったらダメかも。
あと明るさの規定(第5号)もあって、照度が20ルクス以下となってはダメ。

件の店がどういう営業許可をとっているかは知らないけど、法第2条のではないと思われる。おそらく法第32条による深夜酒類提供飲食店営業で営業許可をとっていると思われる。

どんな状態にすれば営業可能か?

件の店が深夜酒類提供飲食店営業の営業許可をとっているとして、どういう状態なら無問題か考えてみる。
先に記した風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(以下規則と言う)第40条に技術上の基準が書かれている。ひとつひとつ見ていく。

一 客室の床面積は、一室の床面積を九・五平方メートル以上とすること。ただし、客室の数が一室のみである場合は、この限りでない。

9.5㎡はだいたい3.1m四方なんで、これはクリア。

二 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。

フロア全体を1室とみなすと中央にカーテンを下げるのはNGかも。

三 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備(第四十三条に規定する営業に係る営業所にあつては、少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を含む。)を設けないこと。

別になにも掲げてなければ大丈夫。VJがふざけてアダルトビデオなんかを流すとダメだろうな(んなこと頼まれてもやらないけど)。

四 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。

これは問題無し。

五 次条に定めるところにより計つた営業所内の照度が二十ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。

これについては次条(規則第42条)に測定方法が書かれている。簡単に書くとテーブルや椅子があるところではその上が20ルクス以下となってはダメ、それ以外の場所は床面が20ルクス以下になってはダメらしい。
20ルクスがどれくらいの明るさかよく分からないんだけど、一般家庭は200ルクス程度、満月で0.1ルクス程度らしい。うーんさっぱり分らないけど、真っ暗な状態はアウト。
ただしこの条文は「構造又は設備を有すること」となっているので、これだけの明るさを維持出来る照明設備があれば、常時その明るさをキープしなければならない訳ではなさそう。照明効果で一瞬の暗転なんかは大丈夫かな?ま、安全を考えれば常に20ルクス以上をキープしておけば問題ないな。

六 第二十三条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第三十二条第二項において準用する法第十五条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。

ここで言う条例がどれになるのかよく分らないんだけど、「長崎県公害防止条例」には次の記述がある。

(拡声放送及び深夜騒音の制限)
第25条 何人も、次に掲げる行為によって、その周辺の静穏をみだしてはならない。ただし、やむを得ないと認められる場合で規則で定めるときは、この限りでない。
(1) 住居の環境が良好である区域及び病院、学校その他これらに類する施設の周辺の区域で、規則で定める区域において拡声機を使用して放送を行なうこと。
(2) 深夜(午後11時から翌日午前6時までの間をいう。以下次条において同じ。)において、みだりに他人の睡眠を妨げる騒音を発すること。
(深夜における音響機器の使用の制限)
第25条の2 静穏の保持を必要とする区域として規則で定める区域において、飲食店営業その他の規則で定める営業を営む者は、深夜において、当該営業所で、規則で定める音響機器を使用し、又は使用させてはならない。ただし、当該音響機器から発生する音が営業所の外部に漏れない場合には、この限りでない。

つまり午後11時から午前6時までは近隣の人の睡眠を妨げるような騒音は出してはダメ。ただし第25条の2にあるとおり、防音をしっかり行って外部に漏れなければOK。
しかしこれはお店の設備の話であって、店の防音をしっかりとしていても、店の外でたむろしてるお客さんがワーワー騒ぐことについては別問題。ここ重要。これは法令うんぬんという事ではなくて、個人のモラルの問題。

七 ダンスの用に供するための構造又は設備を有しないこと。

これが一番難しい。まずは「ダンスの用に供するための構造」だけど、広いフロアがあるとダメっぽい。午前0時を過ぎたら踊らせてはいけないんだから、踊れるような状態にしておくとダメかも。つまり踊れない状態にしておかなきゃダメかも。どういう状態かと言うと、キチンとテーブルや椅子が並び、「通路」と言える空間以上のものがない状態かな。
テーブルや椅子の配置だけど、これは営業許可を申請する際に申請書に書いてあるのかもしれない。申請書の様式を見てみたけど、どれくらい具体的に書かなければならないのか分らないので何とも言えないが、もしテーブルや椅子の配置を詳しく書いているならば、この配置を変えると「変更申請」を出さねばならない。となると、午前0時まではフロアを確保して、午前0時過ぎたらテーブルを出してラウンジスタイルにする、という方法はアウトかもしれない。

次に「ダンスの用に供するための設備」だけど、これもよく分らない。大規模なサウンドシステムはこの設備に該当するかもしれない。あくまでもお店のBGM用ならば大丈夫だろう。

その他問題になりそうなこと

2004年4月ごろ、東京の条例が改正されて、渋谷あたりのクラブが相次いで警察の立ち入り検査を受け、営業時間の短縮を余儀なくされたことがあったらしい。これは未成年の夜間外出、そこでのドラッグの使用などが問題になって行われた措置だったみたい。これを機に東京のクラブはIDチェックが厳密に行われるようになったらしい。
今回の問題は騒音が焦点になっているけど、別の方向からつつかれるのもイヤだから、この際IDチェックも厳密にやったほうがいいかもしれない。

あと言わずもがな、当然のことではあるけど、ドラッグの使用、それを容認するような雰囲気もダメ。クラブ→ドラッグというイメージが一般にある以上、それを完全に否定するくらいの姿勢が必要ではないか。

まとめ

ずらずらと書いてしまったけど、対策としてまず必要なのは防音設備。あるいは音が外に漏れないくらいの音量にすること。近隣の人の苦情の原因が騒音であるならば、まずはこれをなんとかしなきゃいけない。

次に法令の厳守。警察の立ち入り検査を受けて「次はない」と言われている以上、いつ警察の立ち入り検査があっても問題ない状態にすべきだと思う。

あと必要なのは、単純に「楽しく遊ぶために他人に迷惑をかけない」という最低限のモラル。店、イベントスタッフ、お客さんがそれぞれ自覚を持ってさえいれば大丈夫だと思う。

余談〜この国の法律って。。。

昨日から風適法を中心に色々と見てみて感じたこと。この国の法律ではクラブの営業は出来ない。これっておかしくないか?
風適法ではダンスが異常なくらいに規制されている。これは元をたどると違法な営業をしていたキャバレーを取り締まるためのものらしい。それが残っているため、あるいは解釈の過程で僕らの「ダンス」と重なる部分があるため規制の対象となっている。

近隣の人の迷惑になるような音を出してはいけないけど、完璧に防音対策を施したとしても風適法上は午前0時を過ぎると踊ってはいけない。楽しくお酒を飲んで、大好きな音楽を聴きながら踊ることがなぜ規制されなければいけないのか。

繰り返して書くけど、現行法のもとでは朝まで踊れるクラブの営業は出来ない。でも午前0時で終わるパーティーなんてありえない。だから法をくぐりぬけるような形態でしか営業出来ない。やましいことが一切なくても、法律が許さないのはおかしい。変だ。
見つからないように隠れてやれ、と言うことなのか?ビブラストーンの「Hoo!Ei!Ho!」では「ドアさえ閉めときゃバレないさ」と歌われているけど、そんな姿勢でしか遊び場が確保出来ないのは悲しいし、おかしい。この法律はおかしい。厳しい一面、ザル法でもあり、こちらがなんとか問題なく営業してる時は何も言わないくせに、何か問題が起こると厳しい規制をかけてくる。こういう状態だから、クラブ側も正面から法改正などの声をあげない。色々言って、目をつけられたくないから。

「ダンスをする場」であることから、1998年までは社交ダンスのスタジオも風適法の対象となっていた。しかし、どう考えてもそれはおかしいし、理不尽。wikipediaの風適法の解説にはこうある。

当初はダンス教室も4号営業で規制対象となっていたが、映画『Shall we ダンス?』に始まる社交ダンスの流行とともに愛好者や関連団体の努力が実り、1998年に規制除外となった。

クラブも規制対象からはずすように努力しなきゃいけないのではないか。それともクラブ経営者側にはそういうことが出来ない事情でもあるのか?